今回は、意外に知られていない医療用ウィッグと普通のウィッグ(=ファッションウィッグ)の違いを解説していきます。
医療用ウィッグと普通のウィッグの違いを簡潔に書くと、こんな感じになります。
本記事の後半では、にゃんたおすすめの医療用ウィッグをご紹介していきたいと思います。
このブログの運営者にゃんたは、こんな人です。
医療用ウィッグと普通のウィッグの違いは?
ウィッグに興味がある方の中でも、とくに「治療による脱毛を控えている方」と「脱毛症の方」は、「医療用ウィッグ」という言葉をよく耳にすると思います。
医療用ウィッグ/ファッションウィッグという言葉の定義は、実はあいまいです。
言葉の「意味合い」としては、以下の2種類に分類する目的を持っています。
医療用ウィッグ=
脱毛を伴う治療中の方・脱毛症の方の使用を前提として作られたウィッグのこと
ファッションウィッグ=
医療用ウィッグ以外の商品で、おしゃれ・ファッション目的で作られているもののこと
「医療用ウィッグ」の言葉の意味をさらに深く知って頂けるよう、3つの章に分けて解説していきます。
医療用ウィッグとは?① 本来は「Med・ウィッグ認証商品(M.Wig)」のこと
医療用ウィッグというのは、本来は「Med・ウィッグ」認証商品のことを指します。
「Med・ウィッグ」というのは、「医療用ウィッグ」という名称を使って販売する商品に対して一定の品質を保証するため、日本国内の業界団体が制定した基準のことです。
「Med・ウィッグ」が制定された背景には、粗悪品の流通があったことが記されています。
(以下は、日本毛髪工業協同組合HPより引用)
制定の背景として
抗がん剤投与および放射線治療の副作用などによる脱毛症患者に対して、毛髪業界では、脆弱・敏感な頭皮に配慮した医療用ウィッグとして販売をしております・・・(中略)
日本毛髪工業協同組合HPより引用
・・・近年、医療用ウィッグについては、インターネット販売など販売経路の多様化・複雑化が進んでおり、中には粗悪品が流通することもあり、製品の品質についての基準がない状況が課題としてされてきました。
上記を要約すると、こんな感じになります。
- 本来の「医療用ウィッグ」は、脆弱・敏感な頭皮に配慮した製品を指していた
- しかし、ネット通販等による販路の多様化で、医療用ウィッグの「粗悪品」が流通するようになった
- 医療用ウィッグの「品質基準がない」状況が、課題となった
品質に関わらず、色々なところで
「これは医療用ウィッグですよ!」と言って販売されていた ということです。
上記の課題を改善するため、ウィッグの業界団体である日本毛髪工業協同組合は、医療用ウィッグ商品の品質を保証するための「基準」を設けました。
それが、「Med・ウィッグ」という基準です。
「Med.ウィッグ」とは、
「日本毛髪工業協同組合」に加入している組合員・特別会員が製造・販売している商品のことで、「JIS S 9623」 に適合しているものを指します。
たとえば、私がよくブログで取りあげているブライトララの公式サイトには、以下のように「Med・ウィッグ」マークの説明ページが設置されています。
日本毛髪工業協同組合のホームページでは、「Med・ウィッグ」認証を受けているメーカー名を、以下のように掲載しています。
※私のブログで取り扱っているウィッグメーカーは、ほとんど下記に掲載されています。
ショップ名と会社名は異なるところもあります。
例えば、ブライトララは「京越株式会社」、アクアドールは「株式会社クロスオーバー」で、上記のリストに載っていますよ。
医療用ウィッグとは?② 一番違いが分かりやすいのは裏面の外観
ウィッグを「なかおもて」にしてひっくり返すと、医療用ウィッグとファッションウィッグでは、まったく異なる造りになっていることが分かります。
下記は、ファッションウィッグの裏面です。
今までに、安価なウィッグをおしゃれ目的で使用したことがある方は、この造りに見覚えがあるのではないかと思います。
上記画像を見ていただくと分かるように、ファッションウィッグの裏面には裏地はついていません。
内部は穴だらけになっているため、治療中などで地肌が敏感になっている方のなかには、この造りではチクチクして、肌に刺激が出るケースがあります。
一方、下記は医療用ウィッグの裏面になります。
前項のファッションウィッグとは違い、頭皮の地肌に触れる部分にすべて布が当てられているのが分かると思います。
これは、治療や脱毛によって敏感になっている地肌を、刺激から守るための構造になっているのです。
このようにM.Wigでは、医療用ウィッグの地肌に触れる部分の素材や造りについて、いろいろな規定が設けられています。
どちらが医療用ウィッグでどちらがファッションウィッグか分かりますか?
医療用ウィッグの造りについてご説明したところで、今回の記事のアイキャッチ(タイトル画像)に使われている2つのウィッグについて、ご紹介をしておきます。
こちらのウィッグのことです。
勘の鋭い方ならおわかりかと思いますが、こちらは片方は医療用ウィッグで、もう片方はファッションウィッグです。
ほぼ同じに見えると思うのですが、それも当然なのです。
上記は、元々ファッションウィッグのなかで人気が高かったモデルと、そのモデルをもとに医療用ウィッグとして開発された商品を並べているからです。
従来の医療用ウィッグはカジュアルに使えるデザインが少なかったのですが、最近は使いやすい外観の商品がたくさん開発されています。
気になる方は、下記の商品ページをのぞいてみて下さい。
こちらは、上記画像モデルの医療用ウィッグ商品ページです。
こちらは、上記画像モデルのファッションウィッグ商品ページです。
医療用ウィッグとは?③ どれを選ぶかはユーザーが決めてOK
前項までの説明の通り、医療用ウィッグは治療などで肌が敏感になっている方でも使えるよう、肌に優しい素材や構造になっています。
ただし、治療中の方であっても「必ず医療用ウィッグを使わなければならない」という決まりはありません。
私は肌が強いほうなので、治療中でも問題なくファッションウィッグを使えていました。
下記画像は、ファッションウィッグをかぶった治療中(脱毛中)の私です。
治療中に医療用ウィッグを使うかファッションウィッグを使うかは、あくまでも体質や予算・外観の好みを含めた「個人の判断」になります。
医療用に普通のウィッグを使う場合の注意点
治療などで髪の毛を失っている方がファッションウィッグを使う場合、ひとつ注意点があります。
これは商品によるのですが、髪が全くない状態で地肌に直接ファッションウィッグをかぶると、ウィッグの隙間から地肌が見える可能性があります(全てのファッションウィッグでそうなるわけではありません)。
ファッションウィッグは本来、
髪の毛がある方が、地毛の上から使うことを想定して作られています。
そのため、医療用ウィッグと比べて髪の密度が少ない商品もあります。
脱毛中にファッションウィッグをお使いで、隙間から地肌が見えてしまうかも…とお困りの場合は、黒いインナーキャップを使うなどの対策を考えましょう。
黒いインナーキャップというのは、下記のような商品を指します。
インナーキャップには、幾つかの色が用意されています。
ウィッグの髪の色や量に応じて、黒や肌色を使い分けることができますよ!
医療用ウィッグと普通のウィッグ|健康保険と助成金について
こちらの章では、医療用ウィッグと普通のウィッグのあいだで「よくある勘違い」について、取り上げていきたいと思います。
具体的には、健康保険と助成金関連のお話になります。
はじめに|私はFP2級所持者です
健康保険や助成金関連の説明を始める前に、私の所有資格について簡単に触れておきます。
私は、2級ファイナンシャル・プランニング技能士(FP2級)という資格を持っています。
FP資格ではお金に関する勉強をするのですが、2級では健康保険や医療費控除など、医療に関係する分野についても深く学びます。
自身の経験から、FPの試験範囲の中でもこの部分だけは絶対に忘れないな~と思いました。
医療用ウィッグ購入費用は、健康保険適用「にはならない」
「医療用ウィッグ」という名称は、「ファッションウィッグ」との違いを表す「ジャンル名」です。
しかしなかには「医療用」という名称がつくことから、誤った解釈をされるケースがあります。
よくあるのは、下記のような勘違いです。
残念ながら、医療用ウィッグの購入費用は、健康保険の適用にはなりません。
また、医療費控除の対象にもなりません。
理由としては、ウィッグの購入は「医療費」にはあたらないからです。
このことについては、様々な大手ウィッグメーカーのHP上でも説明がされています。
ただし、自治体によっては「ウィッグ助成金制度」を独自に設けているところがあります。
次の項では、健康保険「以外」の助成制度について、くわしく解説していきたいと思います。
実際に、私が暮らすエリアではウィッグ助成金制度を導入しており、私もウィッグ助成金を受けた一人です!
ウィッグ助成金制度=「がん患者さんの」ウィッグ購入費用を補助するもの
自治体によっては、「がん患者さんの」ウィッグ購入費用に対して、助成金制度を設けているところがあります。
ウィッグ助成金制度については、がんと診断された時点で、通院先の看護師さんなどから説明されるケースが多いです。
もしも、お住まいのエリアが該当しているかどうかがご不明な場合は、各自治体のホームページをご覧下さい。
次の章では、自治体ではどのようにウィッグ助成金情報を公開しているかの一例をご紹介していきます。
ウィッグ助成金制度|東京都港区の例
こちらでは例として、東京都港区のウィッグ助成金制度の説明ページを引用させて頂きます。
ウィッグ助成金制度の「対象者」はだれ?
これは、ウィッグ助成金制度を導入している自治体であれば、ほぼ同じ内容が記されています。
ウィッグ助成金制度の「対象者」は、下記に当てはまる方になります。
- 助成金制度のある自治体に住民登録のある方
- がんと診断され、現在その治療を行っている方
- がんの治療に伴う脱毛により、ウィッグなどを必要とする方
ウィッグ助成金の「ウィッグ」とは、何を指している?
本記事の最初のほうでは、ウィッグには「医療用ウィッグ」と「ファッションウィッグ」があると説明しました。
しかし、ウィッグ助成金の対象になるのは、すべてのウィッグです。
ポイントは、用途が抗がん剤治療による脱毛対策用かどうか、という点です。
具体的には、
- ウィッグ本体
- インナーキャップ
- ケア帽子
- 自作ウィッグ
などなど、とにかく用途(=がん治療の副作用による脱毛対策)が合っていれば、すべてOKと記されています。
なぜ私がこちらを強調するのかというと、実際に私の周りでこんな方が見えたからです。
「医療用ウィッグ」じゃないと、ウィッグ助成金は申請できないんでしょ?
私ががんの治療中に買ったのはファッションウィッグだから、ダメでしょ?
こう思い込んで、助成金を申請しなかった方がいたのです。
もし、勘違いをしていたかも…と思った方が見えたら、ぜひお住まいの自治体に助成金制度がないかを調べてくださいね!
医療用ウィッグは人毛100%の高級品「だけじゃない」
こちらも、よくある勘違いの例になります。
「医療用ウィッグ」という名前を聞くと、なにか特別な高級品 のように感じる方がいらっしゃいます。
さらに、医療用ウィッグ=すべて人毛100%ウィッグ だと思い込んでいる方もみえます。
医療用ウィッグは、必ずしも人毛100% とは限らないです。
医療用ウィッグには、① 人毛100% ② 人毛ミックス ③ 人工毛の3パターン(=全種類)の商品があります。
現在私が使っている医療用ウィッグのなかには、6千円台の人工毛のものもありますよ!
参考までに、下記はすべて私が使用している医療用ウィッグの着用レビュー記事になります。
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